MIT石井裕教授の講義
kisocci (2009年4月 3日 12:20)
やれ巷では、英語教育を小学生からとか、外国人教師を公立でも充実とか。世界に対する日本の自信が失われつつ昨今、また中国やインドの台頭に対する危機感も手伝って、英語(英会話?)教育への異常なまでのブームが依然として存在しています。英語が話せないと世界からおいていかれるのでは、というヒステリー状態。一方で、ご存知、藤原正彦氏著「国家の品格」にもあるように、まずは思考の源として国語をきっちりと学ぶべきと唱える方もいる。私は藤原氏の意見の側に大変共感する人間です。まずは、自分が何をもっているのか、どういった価値を生み出せる存在なのか、ここをきっちりと思考すること/思考できるようになることが英語(英会話)教育よりはるかに重要だと思っています。英会話ももちろん「スキル」としては大切でしょう。ただ、英語を話せないばかりに機会損失があるのではいかという恐怖心に対しては少々冷静になったほうがよいのかもしれません。
その証左といっては登場者に大変失礼かもしれませんが、MITメディアラボの石井裕教授の講義には大変感銘をうけます。ずっとアメリカで活躍されていますから、英語を話なれているという点では流暢ですが、その発音は日本語に近い。それでも講義はどんどん熱く進むわけです。石井裕教授はNHK「プロフェッショナル」にも2007年に出演され、国内のみならず世界を代表する研究者の一人です。
1997年に発表した論文で「タンジブルビット」という情報を直接「触る」ことによるコンピュータと人間のとの関わり方を提唱し、MITメディアラボで研究を重ね、同ラボ参事としても活躍されています。
ここで実際にご紹介するのはスタンフォード大学のHCI(Human-Computer Interaction)講座のひとつ、Tangible Media for Design and Inspiration(iTunes U*1で無料公開されています。iTunesが起動します)。2008年5月30日の講義で石井裕教授が招かれているものです。
教授職であっても研究成果があがらなければ辞めさせられる厳しい中で最先端の研究者でいつづける石井裕教授の講演を聞き、優先すべきは「自分が何者で」、「自分の価値観が何で」、「今の自分の考えは何で」という思考を頭の中に完成させることだと感じます。その次に伝えるスキルとしての英語がまあそこそこあれば。英語を学ぶことが優先、目的化されてはいけない。
それこそ近い将来、携帯電話くらいのデバイスで高精度な同時通訳ができるようになるでしょう。そういった「スキル」はいつか科学技術がなんとかしてくれる。それよりも我々の「コンテンツ(中身)」であると。英会話自体を学ぶことよりも、母国語できっちりと自分の思考を構成できるようになり、また日本語を通して日本人を学び、英語という言語を通じて米国人を知る、そういう学びがなにより大切ではないかと思います。
最後に少し話しをずらして、沖縄では、今、沖縄語に注目が集まっています。ユネスコが発表した消滅危機2500言語に、沖縄圏では八重山語、与那国語、沖縄語、国頭語、宮古語が挙げられました。あらためて方言ではなく言語として独立した扱いにされていることに驚きと同時に納得もするところです。英語と聞くとつい「スキル」と思ってしまいますし、こうしたニュースにつられて言語と向き合うと「文化財」だとも思い、行き過ぎるとノスタルジックにもなる。ただ、いずれに対してもちょっと違和感があります。言語はまず思考の素材なのではないかと思うのです(前述の藤原氏の主張に沿います)。語彙であったり文法であったり言語が豊かであるほど思考の幅、ひいては表現の幅も豊かになるという関係性です。結果それによって文化が構成されているといえるのですが。言語が消滅するということは、その言語を使っていた社会の思考法が世から消えるということではないでしょうか。
沖縄県選出参議院議議員の糸数慶子氏がこのような質問注意書を出されています。日本語とは何か、方言とななにか、政府見解を解いただしているわけですが、それが言語であれ方言であれ、現行のまま通じるか廃れるかであれ、その当時当地の思考の源としてすべてが保存されることを期待したいと思います。
(*1)Appleの提供する「iTunes U」 サービスでは、アメリカの大学の講義や語学授業などの音声/動画が無料で配信されています。
これは2007年からスタートしているサービスで、MIT、カーネギーメロン、スタンフォード、イエールなど著名大学含めアメリカだけで150校以上。また、英国からもオクスフォードやケンブリッジが講義を無償提供しています。各分野の最先端の講義が家にいながらにして聞ける(ものによっては映像もあり)のは大変な驚きです。
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kisocci
| 2009年4月 5日 23:04 | 返信
NECからでます。
「携帯電話機上で動作する日英・英日自動通訳ソフトを開発」
http://www.nec.co.jp/press/ja/0901/0505.html
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